シャープは,同社が2004年9月末に発表した「AVセンターパソコン」で採用した高画質化技術をノート・パソコンにも盛り込む。今回,2モデルを発表した。「PC-XG50H」と「PC-XG70H」である。
AVセンターパソコンは,同社製液晶テレビ「AQUOS」の技術を取り込むなど高画質化に注力したモデル。液晶テレビやDVDレコーダと似た筐体形状で,リビングでゆったりと映像を楽しむ使い方を想定していた。
これに対して今回の2モデルは,一般的なノート・パソコンと同じ形状をしている。ターゲットは,家族がそれぞれの自室で映像や音楽を楽しむような使い方をするユーザーである。PC-XG50Hは2005年1月22日に,PC-XG70Hは同年1月28日に発売する予定。価格はオープンだが,それぞれ20万円前後,24万円前後を予定する。
製品化に当たってシャープは「映像の入力から出力まで,高画質化にこだわった」ことを強調する。例えば「テレビ放送の受信機能があるノート・パソコンでは,一般にサイズの制約があるのでチューナICを使うことが多い。しかし,それだとどうしても受信感度が低くなり映像が乱れやすい。入力映像が乱れていると,後段でどんなに高画質化技術を投入しても画質改善には限界がある」(同社)。そこで,今回の2モデルではCANチューナを利用する。ただし,チューナの仕様の詳細やチューナ・メーカーなどは一切明らかにしなかった。
液晶パネルの輝度は630cd/m2
高画質化技術は,ゴースト雑音除去や色信号/輝度信号対象のデジタル雑音除去,3次元Y/C分離,エッジ強調,コントラスト補正,色補正,色ずれ補正,動き適応型IP変換など多数を盛り込んだ。テレビ視聴時には映像をダイレクト・オーバーレイ方式で表示する。すなわち,非圧縮の映像データを直接,グラフィックスLSIに入力し,表示している。これまではいったん映像をMPEG-2などで符号化してハード・ディスク装置(HDD)に記録し,それを読み出して復号化および描画を行うタイプが多かった。テレビ視聴と録画を1つの信号経路を共用して実現していたためである。ダイレクト・オーバーレイの場合は,グラフィックスLSIへの出力とともにMPEG-2符号化LSIを介してHDDにデータを蓄積する経路も用意しなければならない。その代わりブロック雑音の発生や映像の遅延を抑えられる。
画面は1024×768画素のASV方式TFT液晶パネル。輝度は約630cd/m2と高い。PC-XG70Hは記録容量80GバイトのHDDを2台,PC-XG50Hは同HDDを1台搭載する。記録再生が可能なDVD媒体はDVD±R/±RW/-RAMである。 |