◇もう弱いふりしない女性
懐かしのテレビドラマ「奥さまは魔女」が映画化され、公開中だ。監督は「めぐり逢えたら」「ユー・ガット・メール」など、ロマンチック・コメディーの名手ノーラ・エフロン。
1960年代から、日本でも繰り返し放送されてきた人気ドラマ。平凡なダーリンと魔女のサマンサの夫婦が繰り広げるコメディーだ。しかし、焼き直しではつまらない。「2005年用にアップデートして、古臭くないものにしたかった」とエフロン監督。
「奥さまは魔女」のリメークドラマが作られることになり、ニコール・キッドマン演じる魔女イザベルがサマンサ役に抜てきされる。やがてダーリンを演じる落ち目のスター、ジャック(ウィル・フェレル)との間に恋が芽生え……。
「映画の中にテレビを入れ子にするのは、最初に思いついたアイデア。エリザベス・モンゴメリーの代わりは誰にもできないから、そのままでは意味がない。オマージュにしたかった」
出会った2人が反発するが、誤解に気付いてやがて恋に落ちる。「今回のようなファンタジーでも、話の構造は同じ」。ハッピーエンドもいつも通りだ。
そこにひとさじのメッセージも。「女性は、自分が強すぎるのではないかと思って力を隠し、従順さを装って、時々こっそりその力を出す。何も出来ないふりをするサマンサの魔法みたいに。でも、映画のイザベルは自分が何者かを知っていて、もう弱いふりはしない。今作る意味はそこにあるのです」
それにしても、劇中のキッドマンは、時々モンゴメリーそっくり。「ニコールは子供のころからサマンサに似ていると言われ続けて、映画にする気になったのです。私も、彼女なら面白そう、とやる気になりました」
サマンサの、魔法を使うときに鼻をぴくぴくと動かす仕草も上手にまねた。「彼女は何でも出来るからね。可愛くて軽やかで、彼女も楽しんだと思います」【勝田友巳】