歌手和田アキ子(55)の母で、くも膜下出血のため7日に亡くなった和田森子(わだ・もりこ)さん(享年85)の葬儀・告別式が9日、大阪市の臨南寺会館で営まれた。出棺後、和田は取材陣に対応し、母への思いを「産んでくれてありがとう。恥じないように一生懸命生きていきます」と涙ながらに語った。会場には小泉純一郎首相からも供花が届いた。
時折ハンカチをあてる目は真っ赤。いつもの勢いはなく、悲しみをこらえきれない様子。涙で何度も言葉を詰まらせた。
「“和田アキ子”をいい意味でも悪い意味でも演じていて、母はそんな私を恥ずかしく思ってました…。(葬儀を終えて東京に)帰ってからの仕事がバラエティーばっかりで。歌ですと気持ちを出せるところもあると思うのですが、“和田アキ子”を演じるのが…。早く気持ちを切り替えて生意気に演じたい」
「芸能界のご意見番」を売りにしてきた“ゴッド姉ちゃん”が、最愛の母との別れに本音を見せた瞬間だった。
棺には悲報を伝えたスポニチ本紙など新聞を入れた。森子さんは生前、「和田の母ということで控えめにしていた」という。この日は芸能界から300人以上の供花が届き、盛大に見送ることができた。「皆さんに来てもらい、新聞にも名前が載り、棺の中に新聞を納めました」。これが最後の「親孝行」だった。
和田が1967年(昭42)に上京後、離れて暮らした母娘は今年2月に「何十年ぶりかの四国旅行」が実現。常に飲酒と喫煙のことを心配してくれた。そんな森子さんが倒れた翌日の6日夜に仕事を終え、東京から大阪に駆けつけた。「この世界にいると親の死に目に会えないというが、私のことを待っていてくれたと思う」と天を仰いだ。
出棺時には和田の曲「Mother」が流された。
私はあなたの娘 子守唄を聞かせて…。母を思い慕う歌声が響く中、1人の娘として見送る背中はいつになく小さく見えた。
11日には都内に戻り、レギュラー番組のテレビ収録から仕事を再開する。