TBSの安定株主の持ち株比率が50%近くに達し、「過半数確保にめどが立った」ことが明らかになった。ただ、TOB(株式の公開買い付け)を視野に入れているとみられる楽天に経営権を奪われないようにするには、「めど」を確実にし、安定株主比率を早急に50%以上にすることが不可欠だ。楽天はTBSに過半数を抑えられると、経営権を握ることができなくなるため、TOBを実行して、TBSの安定株主の切り崩しを図るものと見られる。両社の50%ラインをめぐる攻防は激しさを増してきた。
現在のTBSの楽天対策は、株を長期に持ち続ける安定株主を増やすことと、新株予約権の株式転換を軸とした買収防衛策が2本柱になっている。TBSはもともと、「大株主が不在で買収されやすい体質」と言われてきた。このため、楽天が15.46%の保有を発表した今月13日以前から安定株主づくりに力を入れた。今年9月には電通、ビックカメラ、三井物産、毎日放送を引受先に、約280億円の第三者割当増資を行った。
楽天の大量保有が明らかになってからは、JNN系列各局や電通、取引先などに株の買い入れや買い増しを要請。9月末時点で「40%超」(TBS関係者)だった安定株主比率が、50%近くにまで高まった。
これ以外にも、買い入れを確約しながら、現在の3000円を超える株高を理由に、買い入れに踏み切っていないケースもある。確約が実行されれば、安定株主が数%増え、50%超が確実になると言う。株主は、取引先を中心にした小口株主が主体で、TBSは早期に買い入れしてくれるよう働きかけている。
楽天はこれまで外国人投資家などから、TBS株を買い進めてきたほか、「TBSの安定株主を味方に付けようと、協力を呼びかけて回っている」(市場関係者)という。
ただ、外国人投資家の中には、長期保有を前提にした一部ファンドなど、安定株主に近い株主も含まれているという。
TBSの楽天対策の一方の柱である買収防衛策は、「株主総会で承認されておらず、楽天が発動差し止めなどの法的手段に出てきたら厳しい」と指摘する声が強い。買収防衛策という最後の手を使わないためにも、TBSは早く過半数を確実にしたい模様で、楽天との水面下の争いは、ますます熱を帯びそうだ。【TBS問題取材班】