日本経団連は7日、来年5月に退任する奥田碩会長(トヨタ自動車会長)の後任に、副会長でキヤノン社長の御手洗冨士夫氏(70)が就任する人事を内定したと発表した。来年5月の定時総会で正式決定し、就任する。任期は2期4年。御手洗氏は、初のIT(情報技術)業界出身の会長になる。
同日の会長・副会長会議で了承された。奥田会長は会議後の定例会見で、「人格と識見に優れ、国際性が非常に豊か。日本がこれから取り組むべき先端技術を開発している製造業であること」と、御手洗氏を起用する理由を説明。御手洗氏は、「政策については奥田会長の路線を継承していきたい」とのコメントを発表した。
御手洗氏は、借金が膨らんでいたキヤノンの経営を再建。デジタルカメラ、複写機、プリンターなどを主力製品として、連結売上高3兆円を超える世界的な優良企業に育てあげた。また、キヤノンUSA社長を務めるなど23年間の米国経験がある国際派で、終身雇用を維持しながら実力主義を反映させる独自の日本型経営を進めるなど「人づくり」の点でも奥田会長の意向に合致した。
経団連会長とキヤノン社長との兼務は難しいため、御手洗氏は来年3月の株主総会後、キヤノン会長に就任するとみられる。【須佐美玲子】