楽天・野村克也監督(70)が8日、FA権を行使して大リーグに移籍することが確実なソフトバンク・城島健司捕手(29)を痛烈に批判した。城島が10月31日の会見で「正捕手での契約」を挙げたことに「正捕手じゃないと行かないの?レギュラーじゃなきゃ行かないなんて、考えられない条件」と言い切った。
城島に対する注目度は大リーグでも増す一方。それに対し、野村監督は「何か納得できないね」と収まらない。「この世界は競争社会、実力社会なのに。何を勘違いしてるのかな。自信があるから行くんでしょう」とバッサリ。現役時代は自らを「月見草」と評した“元祖雑草魂”の持ち主は、ごう慢とも弱気とも受け取れる姿勢を許せなかった。
野村監督には同じ高卒としてプロの門を叩き、最強捕手に上り詰めた自負がある。もちろん、日本人初のメジャー捕手として成功してもらいたい気持ちはある。城島のプロ野球での通算打率・299は捕手では歴代1位のハイアベレージ。実力は高く評価しているが、大リーグで成功するには強い精神力も必要だ。定位置を保証されての移籍では、城島本人のためにならないとの気持ちもあるようだ。
「城島が成功するか?」と質問された野村監督は「メジャーに行ったことがないから分からない」と突き放した。ノムさん流の愛のムチ。城島に“ノムラの考え”は届くだろうか。
≪2段モーションの厳格適用に不満≫野村監督が2段モーションの厳格適用に不満をぶちまけた。これまでは、規則に従うとの立場を貫いていたが、この日になって「再生屋としてはフォームは絶対にいじらない。死活問題になる」。さらに「実行委員会に出てる人は野球をやったことがあるのか」とまくし立て「少年野球からピラミッド型にしないと。(Jリーグの)川淵さんみたいなのが出てこないかね」と旧態依然の体質を嘆いていた。
≪片山“野村チルドレン”ぶり発揮≫高校生ドラフト1巡目指名の片山博視投手(18=報徳学園)と西宮市内で入団交渉を行い、契約金8000万円、年俸1000万円(いずれも推定)で仮契約した。指名後は野村監督の最新著書「野村ノート」を熟読。「左腕の場合、右打者の内角が原点と思っていたが、外角速球が生命線と知り野球感を変えられた。自分を成長させてくれる人」と早くも“野村チルドレン”ぶりを発揮していた。
≪トライアウト参加選手の獲得を見送り≫7日の12球団合同トライアウトに参加した選手の獲得を見送る方針を決めた。野村監督は楽天を解雇された小倉、高村らの再雇用を訴えていたが「(選手)枠がないんだって。68人と決めていて、ドラフトで8人指名するから(FAの選手も)入る余地がない」と渋い顔。「いつの間にか監督の立場が弱くなったな」とぼやいていた。