【ワシントン共同】食欲を抑制する作用がある新たなホルモンを米スタンフォード大のチームがラットの胃で発見、「オブスタチン」と名付け、11日付の米科学誌サイエンスに発表した。
オブスタチンは、日本で発見された食欲促進ホルモン「グレリン」ともとになる遺伝子が共通なのに、機能はほぼ正反対。こうした例は非常に珍しい。二つのホルモンの役割を解明することで、肥満の治療薬開発につながる可能性がある。
チームはグレリンの遺伝子や、グレリンのもとになる前駆体のアミノ酸配列を、人間やマウスなど約10の哺乳(ほにゅう)類について調べ、同じ遺伝子からグレリンとは別のたんぱく質がつくられている可能性が高いと予測。ラットの胃から予測通りにオブスタチンを発見した。
合成したオブスタチンをラットに注射したところ、餌を食べる量が減ったうえ、消化にも時間がかかり、体重増加のスピードが鈍くなった。人間でも同様の効果があるかどうかの確認はこれからだという。