◇「ペンシル」から「H(エイチ)2B(ビー)」へ
日本初(はつ)のロケット「ペンシルロケット」の発射(はっしゃ)に成功(せいこう)してから、今年(ことし)で50年になる。全長(ぜんちょう)23センチのちっぽけなロケットが日本の宇宙開発(うちゅうかいはつ)のとびらを開(あ)け、いまでは世界(せかい)のロケット大国に仲間入(なかまい)りしようとしている。国産(こくさん)ロケットの歩みをみてみよう。
◇初(はつ)のロケットは横(よこ)に飛(と)んだ
ペンシルロケットは1955年4月12日、「ロケット博士(はかせ)」といわれた東京大学の糸川英夫(いとかわひでお)博士が水平(すいへい)発射に成功した。鉛筆(えんぴつ)のような細身(ほそみ)のかたちから「ペンシル」と呼(よ)ばれた。上方ではなく水平に発射されたのは、ロケットの飛(と)ぶようすを高速度(こうそくど)カメラなどで調(しら)べるためだった。最大(さいだい)速度は秒速(びょうそく)110~140メートル(時速400~500キロ)で、10~20メートル飛んだ。当時、日本はジェット機(き)の開発でヨーロッパやアメリカに大きく後(おく)れをとっていたため、糸川博士はロケットの開発を考えたという。
◇2008年度(ねんど)に「H(エイチ)2B(ビー)」を予定(よてい)
宇宙航空研究(こうくうけんきゅう)開発機構(きこう)(JAXA(ジャクサ))は2008年度に主力(しゅりょく)ロケットのH(エイチ)2A(エー)を増強(ぞうきょう)したH2B(ビー)ロケット2機の打(う)ち上げを計画している。直径(ちょっけい)5メートル、全長(ぜんちょう)56メートルと、H2A(直径4メートル、全長53メートル)より一回り大きくなる。エンジンを1基(き)から2基に、補助(ほじょ)の固体(こたい)ロケットブースターも2本から4本に増(ふ)やし、打ち上げ能力(のうりょく)をH2Aの4~6トンから最大8トンまで増強する。国際(こくさい)宇宙ステーション(ISS(アイエスエス))に物資(ぶっし)などを運(はこ)ぶためにJAXAが開発している補給機(ほきゅうき)HTV(エイチティーブイ)を打ち上げることを目指(めざ)している。
◇20年後には国産(こくさん)スペースシャトルも
JAXA(ジャクサ)は今年(ことし)4月、今後20年間の宇宙開発(うちゅうかいはつ)の目標(もくひょう)をまとめた長期(ちょうき)計画を発表(はっぴょう)した。10年後までに人が乗(の)れるロケットを開発し、20年後には地球(ちきゅう)と宇宙を行き来できる有人(ゆうじん)ロケットを実現(じつげん)することや、月面(げつめん)の探査(たんさ)に向(む)けた準備(じゅんび)に取(と)り組むことなどを盛(も)りこんでいる。最初(さいしょ)の10年間で年間2500億(おく)~2800億円の資金(しきん)が必要(ひつよう)としている。<イラスト・瑞木匠>
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◇アクセスしよう
●日本の宇宙開発(うちゅうかいはつ)の歴史(れきし)
http://www.isas.ac.jp/j/japan_s_history/index.shtml
●宇宙開発:ロケット
http://www.universe-s.com/development/rockets_j.html
●ロケットのしくみ
http://spaceinfo.jaxa.jp/note/rocket/j/roc_j.html
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◇NEWSがわかる 11月号(ごう)の主(おも)な内容(ないよう)
*「月刊(げっかん)News(ニュース)がわかる」は内外のニュースをビジュアルに解説(かいせつ)した雑誌(ざっし)です。このページは誌面(しめん)の記事(きじ)をもとにつくっています。
★コウノトリ 大空に舞(ま)う
国内では絶滅(ぜつめつ)した国の特別天然記念物(とくべつてんねんきねんぶつ)・コウノトリが、34年ぶりに大空によみがえった。コウノトリと人間がともに生きる里づくりが進(すす)められている。
★ノーベル平和賞(へいわしょう)に期待(きたい)しよう
★核兵器(かくへいき) なくなる日はくるのか
★どうなる? 万博(ばんぱく)の跡地(あとち)
★日本のロケット50歳(さい)
★10月のおもなニュースをまとめた「ニュースファイル」
■毎月15日発行(はっこう)/定価(ていか)330円■
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「よくわかるページ」は原則として月曜日に掲載します。次回(21日)は「そうだったのか」です。