◇中小企業パワー活用
北海道の中小企業と北海道大などが開発を進めている小型ロケット「CAMUI(カムイ)」の燃焼実験が19日、開発に参画する赤平市共和町の植松電機で一般公開された。日本のロケットは高価という常識を中小企業のパワーで覆そうというプロジェクトで、5年後には重さ10キロの小型衛星を従来の100分の1程度の価格(500万~1000万円)で打ち上げる構想だ。
開発は永田晴紀・北海道大助教授(宇宙推進工学)を中心に98年にスタート。エンジンは燃料にポリエチレン、酸化剤に液体酸素を使う無火薬式。火薬を使う通常のロケットに比べ安価で、安全性も高い。今年3月には500グラムの観測機器を高度5キロに打ち上げるロケットの実験に成功。推力を5倍に上げたエンジンの燃焼実験を続けていた。
構想を実現したのは中小企業の力。地元の電子機器会社などが協力、機体やエンジンも既製の工業製品を活用して作るため特注品の約20分の1のコストですむ。植松電機の植松努専務(39)は「ロケットのようなプロジェクトも、やる気になれば誰でもできる」と話す。来年4~5月に4キロの観測機器を高度60キロに打ち上げる実験をする。【高橋正博、永山悦子】