【ワシントン木村旬】経営が悪化している世界最大の自動車メーカー、米ゼネラル・モーターズ(GM)は21日、不振の北米事業について、08年までに従業員を3万人削減し、9工場を閉鎖する大幅なリストラ計画を発表した。当初は従業員2万5000人を削減する予定だったが、ガソリン高や日本車の攻勢で販売不振が続き、株価も低迷しているため、より厳しいリストラ策を決め、市場の信認回復と経営再建を急ぐ。
計画によると、従業員の削減は、定年などに伴う自然減のほか、定年前の早期退職も募り、人件費圧縮を進める。工場は、主力のSUV(スポーツタイプ多目的車)を生産するオクラホマ工場など自動車組み立て・部品生産の計9工場を06年初頭から順次閉鎖する。
こうしたリストラによって、08年末の北米での年間生産規模は、02年に比べて200万台減の420万台に減少する。生産コストは、原材料費の圧縮も含めて、06年末までに年70億ドル(約8300億円)の削減を見込み、当初の年60億ドル削減から上積みした。
会見したGMのワゴナー会長兼CEO(最高経営責任者)は「従業員の同意を得るのが困難な決定内容だが、海外のライバルと同じ水準までコストを引き下げるために必要な措置だ」と発言。北米市場で好調なトヨタ自動車など日本勢との競争を意識したリストラであることをうかがわせた。
GMは今年6月の株主総会で、米工場従業員の約2割にあたる2万5000人を削減するリストラ策の大枠を発表し、年末に閉鎖工場の対象数など詳細を決める予定だった。だが、その後も業績は上向かず、10月には最大の部品調達先のデルファイが破たんした。
今月16日には株価が一時、18年ぶりの安値に下落し、市場では破たんのうわさが再三流れたため、リストラの詳細発表を急きょ前倒しし、従業員の削減規模も5000人上積みした。