学校法人「浅井学園」(札幌市中央区、浅井幹夫理事長)が01年に実施した北海道浅井学園大・短大(江別市)の校舎耐震補修工事で、同学園が補助金申請のために文部科学省に報告した内容とは異なる工事が行われていたことが22日、関係者の証言で分かった。この工事をめぐっては、文科省から私学補助金約5700万円が交付されているが、同学園が虚偽の申請をした上で、この補助金を不正に受給した可能性が出てきた。道警は、補助金適正化法違反の疑いもあるとみて情報収集を始めた。
文科省に提出した計画書によると、この工事は同大・短大校舎1~4号棟が対象で、耐震化のために炭素素材の補強材(CFシート)で壁面(約2680平方メートル)を覆う--という内容。札幌市内の建設会社(現在は廃業)が01年4月に約1億3300万円で受注し、下請けの同市内の塗装業者が工事を担当した。
関係者によると、工事は01年7月に開始。その際、建設会社の担当者は、塗装業者に対し「通路に面した壁だけを補修してほしい」などと指示。塗装業者は、全体の約4分の1の約700平方メートルについては耐震補修工事を実施したが、残る部分は工事をしなかったという。
塗装業者の当時の担当者は「CFシートで周囲を覆わないと耐震性がないと進言したが、建設会社からは『予算の関係で補修は一部に留めてほしい』と言われた。会社と学園が協議して決めたことだろうと思った」と話している。これに対し、建設会社の社長は「適正に工事を行ったが、詳細については担当者しか分からない」と話している。建設会社は塗装業者に2700万円を支払った。
同学園は、総事業費を約1億4000万円と文科省に報告。文科省は02年4月、私立学校施設整備費補助金制度に基づき、補助対象と認定した約1億1400万円の半額の約5700万円を交付している。
同学園の代理人の徳中征之弁護士は「事実関係を調査している」と話している。文科省は、同学園に事実関係の報告を指示している。【岸本悠、武内亮】
◇耐震補修工事受注会社は無許可
学校法人「浅井学園」の校舎耐震補修工事を請け負った札幌市の建設会社(廃業)が、工事を受注した01年4月の時点で建設業法に基づく道の許可を取得していなかったことが分かった。同法は、無許可業者が工事を請け負うことを禁じており、道は「建設業法違反の疑いがある」として調査する方針だ。
道建設部によると、同法では、1件あたりの請負金額が1500万円を超える建設工事を行う場合、都道府県知事による一般建設業許可を受けることを義務付けている。しかし同社は、約1億3300万円の耐震補修工事を受注した01年4月時点で、許可を受けておらず、取得したのは同9月になってからだった。同社は同3月にも、浅井学園から約1800万円の建設工事を受注していた。
同学園の代理人の徳中征之弁護士は「学園として認識しておらず驚いている。現在、調査している」と話している。
【岸本悠】