マリナーズのイチロー外野手(32)にトレード騒動が持ち上がった。ニューヨークのニューズデー紙が20日(日本時間21日)に報じたもので、ヤンキースは来季の中堅候補としてトレードを打診したが、マ軍側がこれを拒否したという。騒動の背景にあるのはマイク・ハーグローブ監督(56)との確執で、同紙によると、指揮官はマ軍経営陣にイチローのトレードを要求。依然、火種はくすぶっている。
ニューズデー紙に衝撃的な見出しが躍った。「イチローとハーグローブの確執がヤンキースに恩恵をもたらすかもしれない」。最近、米メディアの間で波紋を呼んでいるイチロー発言がトレード騒動にまで発展した。
同紙が「独自ニュース」として伝えたところによると、ハーグローブ監督とバベシGMがイチローの放出を球団首脳に要求。一方のイチローも指揮官の解任を提案しているという。01年入団時のピネラ元監督とは良好な関係を築いたが、一切の妥協を許さない天才打者と自由を重んじるハーグローブ監督との間にはシーズン中から考え方の相違があったのは事実だ。
イチローはシーズン終了後に応じた共同通信社のインタビューで「チームは危機的状況にある」と指摘し、試合に臨む姿勢などに疑問を投げ掛けた。これが米メディアの間で監督批判ととられた。さらにインタビューでは、新人が試合前に練習もせずにトランプにふける状況が描写されており、実際はイチローの発言ではないが、守護神グアダードは「カードゲームをすることは大したこととは思わない」と反論。この状況をハーグローブ監督とバベシGMは快く思っておらず、スター選手の放出もやむなしと判断したというのだ。
この騒動につけ込んだのが中堅手獲得を目指すヤンキースで、イチローとハーグローブ監督の確執は調査済みだった。同紙によると、今季8勝を挙げた王建民(ワン・チェンミン)と打率・297をマークした二塁手カノという将来性抜群の新人2人を交換要員にトレードを打診。結局はオーナーの任天堂サイドの意向が働いたマ軍に拒否され「左翼・松井、中堅・イチロー」という夢のような布陣は幻に終わった。
ただし、今後も両者の関係は予断を許さない。また、イチローは08年まで契約を交わしているが、2年連続で最下位に沈むチームは建て直しを迫られており、他球団から魅力的なトレードのオファーが舞い込んでくる可能性もある。城島獲得を狙うマ軍だが、オフの補強を前に大きな問題に直面した。