ソニーは31日、6月22日に開く株主総会に、監査法人の選任議案を出さない方針を決めた。同社は、金融庁から7、8月の業務停止処分を受けた中央青山監査法人と契約しているが、この契約は7月1日で無効になる。当面、監査人選任を先送りし、9月に業務を再開する中央青山の改革内容を見て、再契約するか検討する。
ソニーの海外事業の監査は、中央青山と提携する米会計事務所、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が主体になっている。このため、PwCと無関係の監査法人に変更しにくい事情がある。PwCが設立を表明している新監査法人の概要も現時点では不明確で、株主総会までに新たな契約先を決めるのは困難と判断した。
また、中央青山との契約が無効になるのに伴い、会社法の規定により「一時監査人」を速やかに選ぶ必要があるが、その選任時期も未定。ソニーは7~8月は監査業務が少なく、「速やかに」がどの程度の期間を指すかは、企業の置かれた立場で異なると解釈。監査人が一定期間不在でも、違法にはならないと判断した。
一方、ソニーは取締役の退職金を全額株式で支払う制度を導入したことを明らかにした。従来の退職慰労金制度は廃止した。株の売却は自由。【遠藤和行】
毎日新聞 2006年6月1日 3時00分