サッカー界で深刻視されている人種差別の問題で、今大会でも憂慮される事態が28日、発覚した。国際サッカー連盟(FIFA)は選手に対する人種差別の根絶を目指し、大会中から「人種差別にNOを突きつける」と題したキャンペーンを推進していくと発表したが、波紋を広げそうだ。
AP通信によると、フランスのドメネク監督がW杯の決勝トーナメント1回戦のスペイン戦で重大な事件が起きたと告白。「競技場にバスが着くと、猿の鳴き声でチームの黒人選手がののしられた」と言う。試合前の国歌斉唱の間はスペインのファンが口笛を吹き、ブーイングを繰り返した。
両チームは以前にもスペインのアラゴネス監督がフランスのエースFWアンリに対する差別的な発言をしたとされ、罰金を科された経緯がある。FIFAは「不幸なことにサッカーにおいて、まだ存在する悪との戦いだ」と宣言。試合中の人種差別を根絶できない国・地域の協会に対しても厳罰処分を辞さない構えを示した。
こうした行為は数年前から欧州各国リーグでも、サポーターがアフリカ系選手を侮辱するなどし問題視されている。FIFAはドメネク監督の発言を受け、公式な訴えがあれば調査に乗り出す意向を示している。(共同)
毎日新聞 2006年6月29日 19時35分