生命保険:がんの夫の保険、強引に解約 賠償求め提訴
がん患者の夫(当時68歳)の生命保険を強引に解約させられたとして、妻の群馬県内の女性(71)が明治安田生命保険(本社・東京)と女性の担当営業員を相手取り、逸失利益など650万円の損害賠償を求める訴えを前橋地裁に起こしたことが10日、分かった。
訴状によると、この男性は91年、同社と死亡時に最大1500万円の支払いを受ける月額保険料約2万円の契約を結んだ。03年に食道がん、胃がんと診断された。病状が悪化していた05年1月、保険料の引き落としに使っていた口座の残金が足りなくなり、1月分の支払いが滞ると、翌2月25日に女性営業員が男性宅を訪れ、一方的に解約手続きをとったという。
妻は解約の事実を知らず、3日後の28日に2カ月分の保険料を支払ったが、同社は解約払戻金約36万円と2カ月分の保険料約4万円を返還した。男性は5月に死亡したが、病死の場合に受け取れる保険金500万円は支払われなかった。
原告の弁護士は「滞納を奇貨として、死期が近く、判断能力のない男性に不当に解約を働きかけた」と主張。明治安田生命保険広報部は「現時点ではコメントできない」としている。【伊澤拓也】
毎日新聞 2006年7月11日 3時00分