日本郵政の西川善文社長は31日、4事業会社の社長職について、民間出身の最高経営責任者(CEO)を充てる当初の方針を変更し、新たに内定した官僚出身者ら最高執行責任者(COO)に担当させると表明した。ゆうちょ銀行CEOに内定した古川洽次(こうじ)元三菱商事副社長(68)ら4氏は会長職となる。このため民間出身者は形式的なトップで実際の経営は官僚出身者が握るのではないかとの観測も出ている。
4社のCOOは、郵便事業会社が団宏明・日本郵政副社長(元郵政事業庁長官)▽郵便局会社は寺坂元之スミセイ損害保険社長▽ゆうちょ銀行は高木祥吉・日本郵政副社長(元金融庁長官)▽かんぽ生命保険は山下泉・日本郵政公社総裁代理(元日銀金融市場局長)。西川社長は「CEOが経営方針を決める」と強調したが、古川氏らCEOが31日にまとまった経営計画にほとんど関与していないのに対し、寺坂氏を除く官僚出身COO3氏は計画策定で中心的な役割を務めている。このため、「郵便局会社を除くCEO3氏は名誉職的な存在になるのでは」(大手行関係者)との見方が出ている。【森有正】
毎日新聞 2006年7月31日