インタビューに答えるイランのラヒム・モシャイ副大統領=東京都内で1日、平田明浩写す
来日中のラヒム・モシャイ・イラン副大統領は1日、東京都内で毎日新聞と単独会見し、同国の核開発問題で国連安全保障理事会が7月31日に制裁警告決議を採択したことを「不合理」と批判しながらも、「国際社会の疑念を払しょくしたい。交渉を継続していく」と述べ、交渉を通じた解決を模索する姿勢を示した。米英仏独中露の6カ国が示した「包括見返り案」については今月22日までに回答する考えを改めて表明。日本が権益を持つイランのアザデガン油田開発に核問題決議が影響することはないとの見方を示し、対日経済関係を拡大する意向を強調した。
モシャイ副大統領はイランの核開発が「研究レベル」であると主張、核拡散防止条約(NPT)加盟国として核の平和利用の権利がある点を強調した。その上で「イランに核兵器を製造する意図はない」と述べ、ウラン濃縮停止の見返りに欧州などが軽水炉建設などを支援する包括見返り案を軸に交渉を継続していく考えを表明した。
安保理の制裁警告決議については、レバノン情勢に関する議長声明にイスラエル非難が盛り込まれなかった点に触れ「イスラエルがひどいことをやっているのに米国の圧力で安保理は文句も言わない。(イランに)差別的だ」と指摘。「一部の国が最新技術の核爆弾を作っている」「イスラエルが中東で核兵器を使わないと誰が保証してくれるのか」と述べ、イスラエルの「核保有」を黙認している米国などの二重基準を批判した。
日本が決議に賛成したのは「望ましくない」としつつも「経済関係への政治的な圧力はない」と指摘、「日本は友好国であり、経済面などで関係を拡大していきたい」と強調した。【前田英司】