停電の原因とみられるトラブルのあった現場は、旧江戸川の河口から約1キロ、川幅約150メートルの場所。東京都江戸川区と千葉県浦安市の都県境で、浦安市側の岸から約50メートルの水上に、黄色いクレーンを乗せた台船が止まり、警察官らが乗った小型船3隻が赤色灯をつけて横付けした。岸には住民ら約100人が集まり、クレーン周辺で行われている検証作業を見守った。
船の下流約500メートルには、約16メートルの高さに電線計26本が川を横切っており、うち3本は焦げたように表面がめくれ、損傷していた。両岸に「上部送電線注意」の看板が立てられている。
浦安市の会社員、大塚秀明さん(57)は、クレーンが送電線に接触するのを目撃した。「ドカーンという大きな音がしたので、初めは車が衝突したのかと思った。川を見るとクレーンが電線に接触していた」と語る。さらに「クレーンを下げるかと思ったら、もう一度、クレーンが動き、電線に接触して、あたりの民家の明かりなどが消えた」と証言した。
近くに住む会社員の男性(63)は「朝食を終えたころ、ドカーンと雷のような音が聞こえて照明やテレビが消えた。家の窓から外を見ると、電線の真横にクレーンが立っていた。その直後、電線とクレーンが接触し、バチーンという音とともに青白い炎が上がり、バチバチと燃えた。クレーンはその場で立ち往生しているようだった」と話す。やはり近所の吉田健治さん(59)は「15~16年住んでいるが、こんなことは初めて。電線も切れていないのに、都内全域が停電するなんて」と驚いていた。【川上晃弘、石丸整、寺田剛】
毎日新聞 2006年8月14日