北海道稚内市内で病院臨時職員の女性(46)が殺害された事件で、稚内署に設置された捜査本部は28日、高校1年の女性の長男(16)を殺人容疑で逮捕する方針を固め、令状を請求した。29日未明にも逮捕する。捜査本部は第一発見者の長男の発見状況の説明に矛盾があったことから、同署に任意同行し、事情を聴いていた。
調べでは、長男は27日午後9時ごろから同11時50分にかけて、自宅1階で女性の首や胸などを刃物で数回刺し、殺害した疑い。
旭川医大での司法解剖の結果、女性の死因は失血死で、首の3カ所の刺し傷が致命傷と分かった。
長男は28日午前0時ごろ、隣人を通じて「母が血を流して倒れている」と119番。捜査本部の調べに対して、「トイレに行こうと2階の自分の部屋から1階に下りたところ、玄関から出て行く金髪の男を見た」と話していた。捜査本部は長男が捜査の方向をそらすために虚偽を述べていたとみている。逮捕後、詳しい動機を追及する。
女性は長男と2人暮らしで、03年6月ごろから地元の病院の薬局で調剤補助の仕事をしていた。近くに住む女性の父親(74)は「娘は4年前に神奈川県で夫と離別し、長男を連れて稚内に戻った。まさかこのような不幸な目に遭うとは。孫(の長男)はおとなしく、素直ないい子」と話していた。
長男と同じ高校に通う同級生は「(長男は)暗い感じだった。何を考えているのかわからないところがある」と話し、事件が報道され、学校では「長男がやったのではないか」とうわさになっていたという。
長男について、近所の自営業の男性(79)は「活発ではきはきした子だった。親子がけんかをしているのは見たことがない」と話していた。【金子淳、山本喜久雄】
毎日新聞 2006年8月29日 1時32分