耐震データ偽造事件で、強度不足を知りながらホテル建設代金をだまし取ったとして詐欺罪などに問われた木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)元社長、木村盛好被告(74)は7日、東京地裁(角田正紀裁判長)の初公判で「構造計算書の結果が虚偽であることは知りませんでした。金をだまし取ろうと企てたことは一切ありません」と詐欺罪について起訴事実を否認した。建設業法違反は認めた。
検察側の冒頭陳述によると、木村被告は05年8月、元1級建築士の姉歯秀次被告(49)=公判中=が構造計算した同社受注のホテルについて、常務のホテル部長から「別の事務所が検証したところ、耐震強度が不足しているとの結果が出た」と報告された。しかし「建築確認も下りているし、続行するしかない」と工事の続行を指示した。
また、同年11月7日に「ばれたらのがれる道がありません」「過去工事を調査されたならつぶれます。国土交通省の調査が木村建設に飛び火しないようお願い申し上げます」と記載した「祈願書」をファクスで信仰する神社に送っていた。
起訴状によると、木村被告は奈良市の「サンホテル奈良」について、姉歯被告が構造計算書のデータを偽造し建物の耐震強度が不足していることを知りながら、同年11月7日、ホテル側から建設費の未払い残金2億2500万円をだまし取った(詐欺)。また、実際には債務超過だった同社の04年6月期決算を黒字と粉飾した決算書類を国土交通省に提出し、特定建設業の許可の更新を受けた(建設業法違反)。【佐藤敬一】