KDDIは25日、ケーブルテレビ局(CATV)と提携し、多チャンネル放送と、光ファイバー回線を通じた高速インターネット接続、IP(インターネット・プロトコル)電話、au携帯電話の四つのサービスを同時に販売する事業を来春にも始める方針を明らかにした。KDDIはCATVの地域での営業力を活用して光通信事業の販売拡大を目指しており、CATVはサービス充実による契約者の囲い込みが期待できるという。
光ファイバーを活用した多機能サービスでは、NTT東西がCS放送大手、スカイパーフェクト・コミュニケーションズと組んで、多チャンネル放送、高速ネット、IP電話の三つを同時に販売しているが、携帯も含めた通信・放送の一括販売はKDDIが初めて。顧客にとっては、携帯やCATVなどを別々に契約するよりも、割安な価格で多様なサービスを楽しめるメリットがある。
KDDIは来年1月に東京電力の光ファイバー事業を約1000億円相当で買収するなど、次世代のブロードバンド(大容量高速)市場の本命とされる光通信事業の強化を進めている。今回のCATVと連携した事業を目玉に、光通信市場でシェア6割を握るNTT東西を追撃する。
KDDIは当初、東電から買収した光ファイバー網を生かせる関東地区を中心に展開し、その後は中部など他の電力会社との連携も視野にこの事業の拡大を急ぐ。
KDDIは、売上高の4分の3を占める携帯電話事業が好調な半面、固定通信事業は赤字体質から抜け出せず、テコ入れを迫られている。このため、今年3月には業界2位で関東を中心に営業しているジャパンケーブルネットを買収。同社傘下のCATV局など約20局に対し、IP電話サービスを提供するなど連携を進めている。【工藤昭久】
毎日新聞 2006年10月26日