宮崎県発注の設計業務入札を巡る談合事件で、競売入札妨害容疑で逮捕された建設情報コンサルタント「ヤマト設計」(東京都)社長の二本木由文容疑者(56)が、安藤忠恕(ただひろ)知事の政治指南役の元国会議員秘書、石川鎮雄容疑者(68)について、「知事から面倒を見てほしいと頼まれた」と県警に供述していることが分かった。その後、同社は石川容疑者の口座に顧問料計1000万円近くを振り込んでおり、県警はこうした金の流れと併せ、近く知事から事情を聴くとみられる。
調べや関係者によると、安藤知事は03年7月に初当選した約1カ月後、選挙を支援した石川容疑者を後援会の「統括事務局長」として迎え入れようとしたが、周囲の反発で断念した。その結果、9月ごろに後援会から石川容疑者に「長年の指導に対するコンサルタント料」として5000万円を提供。その際、二本木容疑者は現金を石川容疑者に運んだが、知事から「石川さんの面倒を見てほしい」などと依頼されたという。
県警は、安藤知事が石川容疑者に長年、選挙を含め政治活動を支えてもらったことを高く評価し、二本木容疑者に石川容疑者を優遇するよう依頼したとみて、調べを進めている。
また、調べに対し、二本木容疑者が「(県事業で)直接、安藤知事に受注をお願いしたこともあった」と供述していることも分かった。知事選があった03年7月から約2年間で、ヤマト設計が県土木部から受注した件数は3件にとどまり、周囲に「うまくいかない」と漏らしていたという。
このため、05年7月ごろ、二本木容疑者が直接、知事公舎を訪れ安藤知事に受注させてもらえるよう頼み、元県土木部幹部の元を訪ねるよう言われたという。その後、ヤマト設計は9件を受注した。
安藤知事は16日の記者会見で、二本木容疑者について「石川容疑者の紹介で知り合った」とし、金銭の授受などについては「知りません」と話した。
毎日新聞 2006年11月18日