内閣府が16日発表した2014年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.6%増、年率換算で2.2%増だった。プラス成長は昨年4月の消費増税後では初めてで、3四半期ぶりとなるが、QUICKが13日時点で集計した民間予測の中央値である前期比0.9%増、年率3.8%増は下回った。内需の回復が市場の予想に比べて鈍く成長が抑制された。
実質成長率への寄与度で見ると、内需が0.3ポイント、輸出から輸入を差し引いた外需が0.2ポイントの押し上げ要因となった。
内需のうち全体に占める割合の大きい個人消費は0.3%増と2四半期連続のプラスとなった。所得や雇用環境の改善が続く中で携帯電話やパソコン、飲料などが増えた。しかし伸び率は7~9月期と同じで、市場からは持ち直しが非常に緩やかだとの声が聞かれる。
設備投資は0.1%増とかろうじて3四半期ぶりに増加した。パソコンをはじめとした電子通信機器の投資が増えたが、勢いに欠けるのは個人消費と変わらない。日本総合研究所の下田裕介副主任研究員は「企業の収益改善は進んでいるが、国内景気の持ち直しの鈍さから企業が投資に踏み切れないでいるのではないか」と分析する。
住宅投資は1.2%減と3四半期連続の減少。7~9月期の7.0%減からはマイナス幅が大きく縮小したが、「(14年4月の消費増税に伴う)駆け込み需要の反動の影響が続いている」(内閣府)という。
電子通信機器や石油製品の需要が伸びて、輸出は2.7%増だった。輸入の伸び(1.3%増)を上回り、成長率に対する外需寄与度は3四半期連続でプラスになった。
総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比プラス2.3%だった。国内の物価動向を表す国内需要デフレーターはプラス2.0%だった。
同時に発表した14年暦年のGDPは実質で前年比0.0%増、生活実感に近い名目で1.7%増となった。デフレの象徴とされる、名目成長率が実質を下回る「名実逆転」を1997年以来17年ぶりに解消した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕