アジア太平洋地域の貿易自由化を目指す東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の参加16カ国が、関税分野での共通の自由化目標設定を断念したことが25日明らかになった。経済連携協定の象徴となる自由化目標を巡って参加国間の隔たりが鮮明となり、目標とする年内の合意も厳しい情勢だ。
16カ国が共通の目標設定を見送ったのは、輸入関税をなくす品目の比率を示す自由化率。最近の経済連携協定では90%程度と高い目標を掲げる例が多いが、RCEP交渉ではインドが40%程度と低い目標を主張していた。今月中旬にバンコクで開かれた交渉会合でも、高い目標を目指す日本などとインドの溝が埋まらず、共通目標の設定が難しくなった。
参加国は今後、各国の貿易状況に応じて自由化率に差を設ける案などを検討するとみられる。ただ、高い自由化目標を共有できなければ、経済連携協定の意義や効果は薄れる。多くの国が参加する分、合意形成も難しいRCEPの現状を浮き彫りにした格好だ。