景気が輸出を支えに持ち直している。経済産業省が27日発表した1月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整値)速報値は前月比4.0%上昇と2カ月連続の増産となった。円安で輸出が増え、工場で使う機械や自動車の生産が増えた。ただ、国内の個人消費は足踏みが続き、消費者物価は伸びが鈍った。景気は緩やかに回復してきているが、弱さも残っている。
同月の伸びは東日本大震災後の11年6月(前月比4.2%上昇)以来の高さとなった。市場予測の中央値(3.0%上昇)も上回った。生産指数の水準は102.6となり、消費増税前の14年1月に付けたピーク(103.9)に迫った。
製造工業生産予測調査では、2月は前月比0.2%上昇、3月は3.2%低下の見通しだ。予測通りなら1~3月期の企業の生産は前期比3.4%上昇となる。ただ、3月に指数が低下予測となるなど先行きに不透明感があるため、経産省は基調判断を「生産は緩やかな持ち直しの動き」で据え置いた。
業種別に1月の生産動向をみると、15業種のうち13業種が上昇、2業種が低下した。工場で使う設備である「はん用・生産用・業務用機械」は前月比9.4%増となり、全体を大きくけん引した。半導体製造装置のほか、化学プラントで使う反応用機器が伸びた。
輸送機械は前月比4.5%増。海外向けの普通乗用車やトラックなどが好調だった。一方で、パルプ・紙・紙加工品や石油・石炭製品を造る業種は落ち込んだ。
出荷指数は前月比5.8%上昇の103.9と2カ月連続で増えた。出荷を財別にみると、はん用・生産用・業務用機械や輸送機械、電子部品・デバイスが好調だった。
在庫指数は前月比0.6%低下の111.0と2カ月連続で低下した。消費増税後に積み上がった在庫を調整する動きが進んだ。