世界の亀山ブランドのシールが貼られたシャープの液晶テレビ=14日午後、大阪市北区、筋野健太撮影
シャープが液晶テレビの国内生産から撤退する方針を明らかにした。テレビは主要部品を調達すればつくれる商品になり、人件費などが高い国内では採算がとりづらくなっていた。ほかの国内電機大手も海外生産が中心で、国内は一部の戦略商品だけになっている。
シャープ、液晶TV国内生産撤退へ 「世界の亀山」に幕
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シャープの戴正呉(たいせいご)社長は14日のインタビューで「国内の大量生産では採算が合わない。海外に移管せざるを得ない」と述べ、親会社の鴻海(ホンハイ)精密工業に委託することで、テレビ生産を続ける考えを示した。テレビをつくってきた亀山工場(三重県亀山市)は、米アップル向けのスマートフォンなどに使う中小型の液晶パネルの生産に集中する。栃木工場(栃木県矢板市)もテレビの開発や試作に特化するという。
シャープは1987年に3インチの液晶テレビを発売。「20世紀に置いてゆくもの。21世紀に持ってゆくもの」と語りかけるテレビCMで、ブラウン管に代わる薄型テレビ市場に挑み、2001年に初代「アクオス」を投入した。
04年に稼働した亀山工場は、液晶パネルからテレビの最終組み立てまでをすべて行う「一貫体制」を構築した。技術の塊の生産設備を工場内に囲って流出を防ぐことで、高い品質を維持する狙いだった。工場名をブランドにする戦略も画期的で、「世界の亀山ブランド」の人気で、プラズマ陣営との薄型テレビ競争に勝った。「液晶のシャープ」の力を国内外に示した。
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