りそなホールディングスは実質国有化から12年で「独り立ち」にこぎ着けた。3兆1280億円に上る公的資金を完済できたのは、財務やサービスの改革を進めた成果。「攻めに転じる」(東和浩社長)と宣言した今後の経営は、収益拡大を軌道に乗せられるかどうかが課題になる。
「りそなの常識は世間の非常識」。2003年6月に会長に就いた故細谷英二氏は最初の支店長会議でこう語り、改革が始まった。旧大和、旧あさひの両行は都市銀行の中でも中堅。大口の融資が不良債権化して経営が行き詰まったという反省が出発点になった。
まず手をつけたのが財務改革だ。04年3月期に不良債権1兆4000億円を損失として処理。持ち合い株を当初の5分の1ほどに圧縮したほか、中小企業融資や住宅ローンを増やして融資リスクを分散させた。
サービスの向上策も推進した。午後5時までの窓口営業やATM手数料の無料化で、大手行に先行。07年には第一生命保険会社と保険商品の共同開発などで提携した。
りそなは27日、本業の収入を示す業務粗利益を18年3月期に今後4年間で8%増の6000億円とする中期経営計画を公表。地方銀行との連携やインターネット支店の開設などを検討していることを明らかにした。初の女性執行役2人が4月1日付で就任する人事も発表した。
ただ国際的な自己資本比率規制で海外業務には制限がある。低金利が続く国内での収益拡大は容易でなく、これから改革の真価が問われる。