岸田文雄外相は13日の閣議で、2014年版の政府開発援助(ODA)白書を報告した。従来のODA大綱に代えて2月に決定した対外協力の指針「開発協力大綱」の理念を説明。同大綱では他国の軍が関与する非軍事分野の活動への支援を認めており、白書は軍事分野への転用を回避するため「十分注意を払う」との原則を強調した。
今回のODA白書は開始から60周年を迎えた日本のODAの歩みと成果を特集。非軍事的な協力での貢献を「平和国家としての日本のあり方を体現するもの」と表現した。新大綱で掲げた市場開拓や平和と安全維持など「国益の確保に貢献していく」方針も解説。これまでの対外支援について、東南アジア市場の成長を例に日本にも成果が及んだとした。
円借款など政府貸し付けの返済を差し引いた13年のODA実績は前年比9.2%増の115億8159万ドルで、世界第4位だった。債務救済の増加などの影響で、12年より順位を1つ上げた。
大綱の名称変更を受け、外務省は次回から白書の名称を「開発協力白書」などに変える方向。「ODA白書」の名では最後となる見通しだ。