原子力発電専業の日本原子力発電は17日、他社の原発の廃炉支援や海外事業拡大を盛り込んだ経営再建策を発表した。原電は保有する3基の原発全てが停止しており、同日そのうちの敦賀原発1号機(福井県)を廃炉にすることも決めた。収益源が縮小する中、事業範囲を広げて生き残りを目指す。
再建策ではほかに保有する原発の再稼働に向けた対応を急ぐことや、東日本大震災前に計画していた敦賀原発3、4号機の建設を進めることなど5つの方針を掲げた。再建策の推進に向け2017年度末までに持ち株会社への移行を検討することや、3子会社を15年度中に1社に統合する方針も示した。廃炉支援では01年から廃炉作業に入っている東海原発(茨城県)で培った知見を生かす。海外事業は国内のプラントメーカーと組んで建設や運転の受託を狙う。
ただ残る2基の原発も老朽化などの問題で再稼働は難航しそうなほか、海外展開など新規事業も未経験の分野が多く、再建策の実現には不透明な部分もある。
発電量ゼロが続く日本原電は電力の販売契約を結ぶ東京電力など大手電力5社からの資金援助で経営を維持している。再建策を受けて5社は15年度も支払いを続けるが、金額は14年度比2割減の900億円程度になる見込みだ。