政府は17日、閣僚で構成する対日直接投資推進会議を開き、外国企業の投資を呼び込むための施策をまとめた。小売店で外国語表示を増やしたり、留学生への就職の情報を充実したりして、外国人が働きやすい環境にする。法人税率の引き下げで投資のハードルを引き下げるのを機に、国と地方が協力して企業を招く体制を整える。
今回の施策は日本で働く外国人が生活も含めて不都合を感じないようにして、企業誘致につなげるのが狙いだ。安倍晋三首相は会議で、「日本への投資促進に向けて先頭にたつ」と語った。
まず空港の出入国審査の待ち時間を2016年度に最も長くても20分以下にする。入国時の「第一印象」が悪ければ、その国でビジネスをしたいと思う人はいない。すべての地方空港は経営者が使うビジネスジェットを受け入れる体制を充実し、地方に進出してくれる企業を探す。
出張者が日本に来たとたんにストレスを感じないように、無料の無線LANを整備して海外から持ち込むパソコンやスマートフォン(スマホ)がつながるようにする。利用登録は1回で終わる仕組みを企業と整える。
働く人は会社にいる時よりも、日常の暮らしに困ることも多い。このため日々の買い物をする小売店での外国語対応を進めることも盛り込んだ。商品ごとに付けるQRコードなどを読み込むと、外国語の商品説明をスマホなどで見られる仕組みを作る。内閣府によると、外国人からはアレルギーの情報などを知りたいという声が多いという。
家族で赴任すると、子どもが日本の大学に進学することがある。しかし、日本の留学生は日本の企業の採用情報を得にくく、就職に困ることが多い。政府は大学や経済団体に対し、留学生に役立つ採用情報を提供するよう呼びかける。
日本で200億円以上の直接投資をして、500人以上を常用雇用する大企業には、副大臣を日本での活動の「お手伝い役」としてつける。煩雑な手続きが多い行政との調整などを担わせる。
海外企業による日本への出資などの直接投資は、引き揚げ分を差し引いても07年には約2兆6千億円あった。14年は前年比3倍になったが、1兆円超にとどまっている。