【マニラ=佐竹実】アジア開発銀行(ADB)は17日、2014年12月末時点の東アジアの現地通貨建て債券の発行残高が8兆1960億ドル(約995兆円)に達したと発表した。前年同月末よりも11%増え、過去最高を更新した。全体の6割強を占める中国が同13%増えた。経済成長に伴って企業の資金調達も活発になっており、社債残高は全体の4割だった。
金融緩和による投資マネーがあふれる中、アジア新興国の債券に対する海外投資家の需要は大きい。ADBは「米ドル相場の上昇による通貨の下落などリスクが増える中でも、アジア域内の現地通貨建て債券はおおむね価格を維持している」と指摘している。
世界の成長センターである東南アジアでは、規模はまだ小さいものの社債の発行が活発になっている。企業が事業を拡大する中で、銀行貸し出し以外の資金調達の方法が広がっている。タイの14年12月末時点の社債残高は700億ドルと一年で15%増えた。フィリピンは170億ドルと同29%増だった。
東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓などによる基金「信用保証・投資ファシリティ(CGIF)」は、アジアの企業が発行する社債の元本と利息を保証することで、発行を促している。先進国並みの信用力で保証をつけることで、海外投資家もアジアの成長企業に投資しやすくなり、社債市場は今後さらに拡大する可能性がある。
ADBは四半期ごとに日本を除く東アジア(中国、韓国、シンガポールなど9カ国・地域)の現地通貨建て債券発行残高を発表している。