東日本大震災で被災し、昨春に全線再開した岩手県の三陸鉄道が5日、復旧1周年の記念行事を主要な4カ所の駅で開催した。小雨が降る中、沿線住民に加え、県内外から多くの鉄道ファンらが集まって晴れやかな笑顔で祝い、復興の進み具合を自らの目で確かめた。
三陸鉄道全線再開から1周年となり、北リアス線・久慈駅を出発する記念列車(5日、岩手県久慈市)=共同
このうちNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台となった北リアス線・久慈駅は、駅名の表示を付け直して番組で登場した「北三陸駅」に“変身”。金野淳一運行本部長が「あの震災から4年。多くの方々の応援に心より感謝します」とあいさつし、職員らが餅まきをすると、子供の歓声が上がった。
春の三陸の海を眺めながら、ウニやイクラといった海産物を使ったお膳が楽しめる記念列車も運行。仙台市から訪れた小松愛子さん(79)は「津波の前に来た時と比べ、景色がどう変わっているか見たい」と話し、夫婦で乗り込んだ。
三陸鉄道は南リアス線(盛―釜石)が2014年4月5日に、北リアス線(宮古―久慈)が翌6日にそれぞれ全線で再開し、全面的に復旧した。
観光客の増加で、14年度の乗客数は前年度を大幅に上回る約75万4千人となる見込み。しかし、駅が仮設住宅から離れており、通学などの定期利用が減ったため、目標の約83万人には届かない。〔共同〕