【テヘラン=久門武史】サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は7日、3月の原油生産量が日量1030万バレルと過去最大になったと表明した。同時に、今後も1000万バレル程度の生産が続くとの見通しを明らかにした。原油価格の回復が鈍いなかでも、減産はせず市場シェアを守る姿勢を改めて示すものだ。
ロイター通信が伝えた。ヌアイミ氏は増産の理由を明らかにしなかったが、紅海沿岸のヤンブーでは国営石油会社のサウジアラムコと中国石油化工(シノペック)が合弁で建設した新製油所がフル稼働し始めている。原油安で米シェールオイルの開発が減速しているのと対照的に、サウジは増産投資を続けている。
ヌアイミ氏は「市場の安定回復と適切な価格上昇を後押しする用意があるが、主な原油輸出国の参加が条件だ」と表明した。「ペルシャ湾岸や石油輸出国機構(OPEC)諸国だけで背負うことはない」とも指摘。ロシアなど主な産油国が生産量を維持したまま、OPECのみが価格維持のため減産することはないとの考えを重ねて示した。OPECは昨年11月の総会で、生産量の据え置きを決めている。
原油市場では、米欧など6カ国とイランが今月2日に同国の核問題解決に向けて合意した枠組みを材料視し、経済制裁を受けているイラン産原油の輸出回復を織り込む動きが出ている。加えてサウジが高水準の生産を続けると表明したことで、供給過剰感の解消に時間がかかる可能性がある。