トラックやバス、タクシーの重大事故を調査する「事業用自動車事故調査委員会」(酒井一博委員長)は15日、昨年6月の発足以降で初めての事故調査報告書を公表した。今回は新潟県と大分県で昨年起きた2件の事故が対象。
新潟県の事故は昨年7月に小千谷市の国道で発生。トレーラーが対向車線の防護柵に衝突して横転し、男性運転手(当時54)が死亡した。報告書は、運転手の事故前1カ月間の拘束時間が厚生労働省が定める上限を50時間超えていたと推定。疲労の蓄積による前方不注意が事故原因とし、国土交通省に対し事業者への注意喚起を提言した。
大分県の事故は昨年8月、臼杵市の国道でトラックの積み荷のポリタンクが崩れ、劇物に指定されている過酸化水素水が漏出した。報告書は、タンクの積み方が不安定な状態で制限速度を超すスピードでカーブに進入したのが原因とし、事業者に運転手教育の充実を求めた。
自動車事故調は2012年4月に乗客7人が死亡した関越自動車道の高速ツアーバス事故などを契機に発足。社会的影響が大きい事故の原因を調査し、国交省に再発防止策を提言する。今回の2件以外に、昨年9月に神奈川県平塚市で乗客ら16人が重軽傷を負った観光バスの追突事故など11件の調査を進めている。