甘利明経済財政・再生相と米通商代表部(USTR)のフロマン代表は19日夜、東京都内で環太平洋経済連携協定(TPP)交渉をめぐる1日目の閣僚協議を開いた。20日までの2日間の交渉で、日米間で懸案として残るコメや自動車分野の大幅な進展を目指す。
TPPに関する閣僚協議に向かう甘利経財相(左)と米通商代表部のフロマン代表(19日午後、東京都千代田区)
甘利氏は1日目の協議終了後、記者団に「日米間で残されている課題を整理し明日協議をする道筋をつけた」と話した。「事務レベル(協議)の前進を確認した」とも述べた。フロマン氏も「良い議論ができた」と語った。20日午前から再開し、着地点を探る考えだ。
閣僚協議の主なテーマは、米国産コメを特別輸入枠で受け入れる規模と日本の自動車部品にかかる関税の撤廃時期だ。米国は年17万5千トンの主食米を無関税の特別枠として、輸入するよう日本に求めている。日本は「コメは農産品の重要5品目の中でも極めて機微に触れる項目」(甘利氏)と位置づけ、特別枠を可能な限り少なくしたい考え。20日までの協議で受け入れ量の妥協点を見いだせるかが焦点となる。
一方、自動車部品では米国が関税の撤廃時期でどこまで譲歩するかが焦点となる。日本は2.5%の関税の即時撤廃を求めており、できるだけ多くの品目の関税を早期になくしたい考えだ。
日米両政府は19日からの閣僚協議で懸案解決のメドをつけた上で、28日の日米首脳会談につなげたい意向だ。甘利氏は協議に先立つ19日午前、「(今回の協議は)間合いを詰める最終的なチャンスで、この機会を最大限に活用していきたい」と述べた。日米間の協議が進展すれば停滞している参加12カ国による全体交渉にも弾みがつく。
日米は閣僚協議前の15日から事務レベルの交渉を開き、難航分野の詰めの調整をしていた。米国産牛肉、豚肉にかける関税や緊急輸入制限措置(セーフガード)で大枠合意するなど一定の進展があったため半年ぶりに閣僚協議を開催した。