初会談に臨む麻生太郎財務相(左)とムニューシン米財務長官(17日、バーデンバーデン、財務省提供)
主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議のため、ドイツを訪れている麻生太郎財務相は17日、米国のムニューシン財務長官と初会談した。両氏は為替政策について、「通貨の競争的な切り下げを回避すること」など、これまで主要7カ国(G7)やG20で確認した内容を維持することで一致した。
35分間にわたった会談で麻生氏は「競争力のために為替レートを目標にしない」「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済・金融に悪影響を与える」など、これまでの主要国間での合意内容を説明。ムニューシン氏はそれを受け入れ、為替について今後も両財務相の間で協議することを再確認した。
トランプ米大統領はこれまで、アベノミクスの大胆な金融緩和などを念頭に「通貨や通貨供給量、通貨安誘導を利用し、我々を出し抜いている」と日本や中国を批判してきた。日本側は「円安誘導が目的ではない」(麻生氏)と反論。2月の日米首脳会談で、為替問題は財務当局間で議論することになっていた。
また、今回の会談では、首脳会談の際に設置が決まった「日米経済対話」について、両国の財務省が担当する分野で緊密に連携を取ることも確認した。加えて対北朝鮮の経済制裁についても、引き続き緊密に意思疎通を図ることで一致した。麻生氏は会談後、記者団に「日米経済関係をさらに深化、発展させる実りの多い議論ができた。(ムニューシン氏は)実務家で、仕事ができると思った」と語った。(バーデンバーデン=鬼原民幸)