消費増税から1年が過ぎ、消費者が店舗を選別する傾向が鮮明になってきた。21日に発表された2014年度(14年4月~15年3月)の2つのスーパー販売統計は明暗が分かれた。住宅の近くにあり、生鮮や総菜など品ぞろえの専門性を高めた食品スーパーは堅調だったが、衣料など総合的に扱う大型スーパーの苦戦が目立った。
イオンやイトーヨーカ堂など総合スーパーの大手が加盟する、日本チェーンストア協会が発表した14年度の全国スーパー売上高は既存店ベースで前年度比2.5%の減少だった。
一方、食品スーパーの業界3団体がまとめた14年度販売額は同0.1%減とほぼ横ばい。消費増税前後の駆け込み特需と反動減など一時的な要因を除くと、実質的に前年度比プラスを確保したという。
チェーンストア協会は販売額の約3割を衣料品などの非食品が占める。これに対して食品スーパーの非食品は1割にとどまり、生鮮品や総菜の好調が販売を下支えした。
大手食品スーパー首脳は「増税後の節約志向から家で食事をとる人が増え、生鮮や総菜の品ぞろえの良さが集客につながった」と話す。価格が高めのコンビニエンスストアや外食の利用を控える消費者が、近隣の食品スパーに向かったようだ。
スーパーが苦戦した非食品でも、商品力があるファーストリテイリングの国内ユニクロ事業は、既存店売上高が増税後の12カ月中10カ月で前年を上回った。昨夏に初の一斉値上げを実施したが、顧客にとって手ごろな価格との印象は維持しているようだ。
同日発表された全国百貨店の3月の既存店売上高は増税前の特需があった昨年との比較になり、19.7%減った。ただ株高の資産効果などもあり富裕層の消費は堅調で、消費者に前向きな動きは「中間層にも拡大しつつある」(日本百貨店協会の井出陽一郎専務理事)という。