大阪市を分割、再編する「大阪都構想」の賛成派、反対派が29日、住民投票の告示後、初の討論に臨んだ。推進派の大阪維新の会の橋下徹代表(大阪市長)と、自民党の竹本直一府連会長(衆院議員)ら反対派議員が読売テレビの番組に出演。橋下氏が「二重行政解消のために市役所と府庁を作り替える」と強調する一方、竹本氏らは「市民に不利益をもたらす」と批判した。
橋下氏は特別区が設置されている東京都を例に挙げ「東京府と東京市が一緒になった東京都では、各特別区が独自色を持った行政をしている」とメリットを強調した。竹本氏は「東京はお金持ちだが大阪にはお金がない。体力に応じたことをやらなければならない」と反論した。
共産党の山中智子市議団幹事長も「東京でも特別区ごとに財政格差が開いているが、それでも財源が豊かだからやっていける。大阪では持たない」と批判した。
特別区の財源を巡っても議論に。自民党の柳本顕市議団幹事長は「大阪市を分割すればコストがかかるので、分割しない方がより多くの活用可能財源が生まれる」と指摘。橋下氏は「都構想を実現して、改革を進めれば金額が積み上がる」などと語った。
特別区の間の財政格差を埋める財政調整制度を巡っては、柳本氏が「交付金の分配を巡って、必ずもめる」と批判する一方、橋下氏は「ルールを決めればきちっと配分される」と強調した。
二重行政を巡っては、反対派として出演した竹本、柳本両氏と山中氏がそろって「府と市の間に二重行政は存在しない。行政を分担している」などと主張。橋下氏は「市役所と府庁はこれまでばらばらに行政をやってきたが、国際競争が激しくなる時代は力強い『都庁』が必要だ」と強調した。