政府は30日、日本が排出する温暖化ガスを2030年までに13年比で26%削減する目標案を公表した。原子力発電所の稼働や再生可能エネルギーの普及に加え、温暖化の原因となる代替フロン対策や二酸化炭素(CO2)を吸収する森林の整備などで削減量を積み上げた。与党との調整や意見公募を経て、6月にドイツで開く主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)で安倍晋三首相が正式に表明する。
同日の経済産業、環境両省の合同審議会に提示した。国際交渉では13年比26%減を中心に日本の目標を説明するが、05年比25.4%減も併記して国連へ提出する方針だ。
政府は30年時点の望ましい電源構成(ベストミックス)で、石炭火力などの発電量を減らす一方、温暖化ガスの排出量が少ない原発を20~22%、太陽光や風力など再生エネを22~24%などとした。削減目標は電源構成の組み替えや省エネで21.9%減らし、代替フロンやメタン対策で1.5%減、森林の吸収分として2.6%減を上乗せした。
基準年を従来の政府目標で使ってきた05年から、東日本大震災に伴う原発事故で火力発電が増えた13年にして削減幅を広げた。
新たな削減目標については、30年より先を考えると不十分との意見があるが、政府は「国際的に遜色ない数字を示せた」(環境省)としている。
年末にパリで開く国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向けて、米国は25年までに05年比26~28%減、欧州連合(EU)が30年までに1990年比40%減とする目標を国連に提出している。日本が示した13年を基準とすると米国は18~21%減、EUは24%減となり、26%減の日本が上回る。EUは05年比では35%減となる。