日本航空とANAホールディングス(HD)が30日発表した2015年3月期の連結決算は、大幅な経常増益だった。ビジネス利用客や訪日外国人の増加を追い風に、国際線の旅客数が伸びた。日航は高価格帯の座席が人気で、経常利益が1752億円と前の期比11%増加。ANAHDは羽田―ロンドンなどの新路線が好調で56%増の671億円だった。
景況感の回復で収益環境は上向いている。日航は座席が広く、設備が充実した「スカイスイート」を日米間の路線などに投入。ビジネス利用で人気を集めた。ANAHDは羽田や成田空港を中心にラウンジサービスを強化し、上級の客室を使う富裕層のリピーターを増やした。
訪日外国人の増加も収益押し上げに寄与し、「訪日客は想定以上のスピードで伸びている」(ANAHDの平子裕志上席執行役員)。両社ともアジアなどでの航空券販売を伸ばした。円安で円換算した単価が上昇した。
16年3月期の経常利益については、ANAHDが前期比34%増の900億円と最高益を見込み、年間配当を1円増の5円で計画している。日航は4%減の1690億円を見込む。
ANAHDは成田発のヒューストン便、クアラルンプール便の新規就航が増収増益に貢献する。日航は燃油価格の下落に伴い燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が減るとみている。また会社更生法の適用を受けた企業が再上場した場合に法人税を減免する特例措置が切れ、今期から納税額が増える。特例廃止で日航の法人税は約130億円増え、純利益は3%減の1440億円になる見通しだ。