川崎市川崎区の簡易宿泊所2棟が全焼した火災で、出火元の「吉田屋」の玄関が激しく燃えていたことが18日、捜査関係者への取材で分かった。神奈川県警川崎署によると、焼け跡から4人の遺体と体の一部が見つかっている。同署は失火と放火の両面で捜査しており、出火原因を詳しく調べるため現場検証した。
川崎署は逃げ遅れた人がほかにもいないかどうか、消防と合同で捜索も再開した。
火災は17日未明に発生。同区日進町の吉田屋から出火し、隣接する宿泊所「よしの」に延焼した。吉田屋の焼け跡から市川実さん(48)と性別不明の3人の遺体が見つかった。
2棟の名簿には宿泊者計74人が載り、川崎市消防局によると、宿泊者ら19人が重軽傷を負った。生存者数十人は別の宿泊所に移動した。
川崎消防署と川崎区によると、2棟とも建築基準法に基づく届け出では2階建てだが、宿泊者は内部に3階部分まであると説明している。宿泊者のうち吉田屋の38人、よしのの30人が生活保護受給者で、大半が60歳以上だった。
一方、吉田屋に宿泊していた50代男性によると、死亡した市川さんは物腰が柔らかく真面目な人だったという。男性によると、市川さんは1年か1年半前から住み始め、最近は荷物の仕分けの仕事をしていた。男性は「飲むと笑い上戸だった。こんなことになって怒りしかない」と話した。〔共同〕