【ニューヨーク=高橋里奈】国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で18日、最終文書素案に「世界の指導者に被爆地の訪問を促す」との記述を復活させるべきだとする日本を支持する表明をした国がこれまでに約25カ国に上った。一方、中国に続いて韓国も記述復活には反対の立場を表明した。
日本は政府高官が現地に入り、外交攻勢を強めた。外務省の杉山晋輔外務審議官は18日、核軍縮委員会に参加し「被爆地を訪れば、原爆の悲惨さをじかに目撃できる。核軍縮が緊急的に必要だと気づくだろう」と訴え記述復活を再び求めた。
その後、フィリピン代表が「NPTがあるのは究極的には広島・長崎(の経験)があるからだ」と述べ、マーシャル諸島などと日本の提案を支持した。
一方、中国代表は「この問題を特定の国が歴史をねじ曲げる手段にしようとしているのはこれ以上見たくない」と述べ、いらだちを隠さなかった。韓国も中国の立場に理解を示し「NPT体制の強化の問題と直接関係ない」などと、記述復活には消極的な意見を表明した。
杉山審議官は会議出席後、「1度削除された文言を戻すことは至難の業だ」と認めたうえで、5月22日の会議閉幕まで外交攻勢を継続する意向を示した。今回のNPT会議には約190カ国が参加している。最終的に記述を盛り込むかどうかは話し合いで決まる。