【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)は18日、ブリュッセルで開いた外相・国防相理事会で、地中海で移民・難民を乗せた密航船の転覆が相次いでいる問題への対策として、密航業者を取り締まる軍事作戦の導入を承認した。密航に使われる恐れのある船舶を見つけ出して破壊し、密航を防ぐ。
6月の外相理事会で作戦開始を正式決定する方針。モゲリーニEU外交安全保障上級代表(外相)は記者会見で「地中海の密航業者のビジネスモデルを崩壊させるのが狙いだ」と説明した。
作戦の本部はローマに置く。作戦の実行には軍事措置を認める国連憲章7章に基づく安全保障理事会決議の採択が必要で、EUは早期の採択を目指す。
アフリカや中東の政情不安を背景に、地中海を渡って欧州を目指す移民・難民が急増する中、船舶の転覆による死者も急増している。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、今年だけですでに1800人に上る。
EUは4月23日に緊急首脳会議を開き、地中海の沿岸警備や人命救助の予算を3倍に拡大するとともに、軍事作戦も視野に入れた密航船の取り締まり強化策を検討すると表明していた。