厚生労働省は27日、豚の生レバー(肝臓)や生肉の飲食店などでの提供を禁じることを決めた。薬事・食品衛生審議会の食品衛生分科会が同日了承した。牛の生レバーと同様に中心部まで十分に火を通すことを義務付け、違反した場合は刑事罰の対象となる。同省は食品衛生法に基づく規格基準を改正し、6月中旬から施行する。
厚労省によると、豚の生レバーや生肉にはE型肝炎ウイルスが含まれていることがあり、重い食中毒が懸念される。ウイルスは肉の表面だけでなく内部にもあるため「豚肉は中心部を63度で30分間以上か、同等以上の加熱殺菌が必要」とする基準を設け、飲食店での生食の提供を禁じるべきだと判断した。小売店が生食用として販売することもできなくなる。
これらは食品衛生法に基づく規格基準に盛り込まれ、違反があれば2年以下の懲役か200万円以下の罰金が科される。
2011年、焼き肉チェーン店で集団食中毒が発生したことを受け、厚労省は牛の生レバーを飲食店が提供するのを禁じた。この後、代替品として「豚レバ刺し」などを提供する店が増加。厚労省が13年度に実施した調査では、全国約200店が生の豚レバーを販売しており、昨年6月に同省の専門家調査会が「生の豚肉の提供を禁じるべきだ」とする報告書を取りまとめていた。
国立感染症研究所によると、E型肝炎患者の報告数は11年に55人だったが、12年以降増加し、14年は146人と過去最多になった。新たな検査方法導入も要因とみられるが、推定される原因食材は豚が最も多かったという。