政治に対する意見を表明するため、国会前に集まった人たち=17日午後7時57分、東京都千代田区、関田航撮影
政治への不満や、社会でおかしいと思うことを伝えていこうと、新しい市民団体「未来のための公共」が17日発足し、同日夜に東京・永田町の国会議事堂前で初の集会を開いた。安全保障関連法への抗議活動をした学生団体「SEALDs(シールズ)」の元メンバーらも設立に関わったが、テーマは限定せず、より幅広い活動をめざすという。
「未来のための公共」によると、集会には約2500人が参加した。発足メンバーの一人、都内の大学生馬場ゆきのさん(20)は、集会でマイクを握り、「安保法には反対だったけど、自信を持って言える考えもなく、行動しなかった。でも、未熟な自分がスピーチすることで、誰でも声をあげる権利があると伝えられると思った」と語った。
ほかにも高校生や保育士の男性、野党の国会議員ら約10人が次々に壇上にあがった。それぞれが取り上げたテーマは、学校法人「森友学園」への国有地売却問題や、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ法改正案など、様々だった。
「未来のための公共」は、安倍政権をめぐる問題が次々に注目される一方、市民運動が盛り上がっていないとの問題意識を持ったシールズの元メンバーらが集まり、発足準備を進めた。めざすのは「参加しやすい集会」。政治問題などに抗議する従来の集会では、皆で「反対」を叫んだり、強い口調で批判を繰り返したりする場面も多かったが、より多くの人が参加しやすいように、そうした活動は少なくする方針だ。参加者のささいな疑問も語れる場にするという。
馬場さんは「政治に興味はあるけど、デモや集会に行く勇気はなかった、という人たちも参加できるような場にしたい」と話す。(佐藤恵子)