「世界ICTサミット2015」(日本経済新聞社・総務省主催)は8日、「知価社会を育むベンチャービジネス」をテーマにICT(情報通信技術)系ベンチャー企業の経営者がパネル討論した。後半は、クラウドをはじめとする新技術がどのような商機を生み出すかについて意見を交わした。
討論する(左から)イー・ガーディアンの高谷社長、freeeの佐々木代表取締役、ランサーズの秋好社長、ブイキューブの間下社長(8日午後、東京・大手町)
クラウド型会計ソフトを提供するfreee(フリー)の佐々木大輔代表は「日本の中小企業はまだクラウドサービスの利用が浸透しておらず、そもそも製品が出ていない領域が多い」と指摘。「そういった手をつけられていない市場の開拓にチャンスがある」と語った。
ランサーズの秋好陽介社長は、働き方の変革に関して「ICTを活用してオンラインで仕事することのポテンシャルが大きい」と強調した。同社はクラウドソーシングによって働き手と企業をつなぐ事業を手がけている。「最近はシニア層の利用者が増えており、少子高齢化で労働人口が減っている中、柔軟な働きができるツールとしてICTの可能性が広く認識されつつある」と述べた。
ウェブ会議を開発・販売するブイキューブの間下直晃社長は「ICTは人間を楽にするためのものだ。ところが、日本では『楽する』ことに関しての抵抗感が強いので、ICTの普及が米国ほど活発ではない」と課題を提示。その打開策として、「新しいことに取り組むための時間が得られるという切り口で訴えれば、日本でもICTの利用がより進むだろう」と提案した。
画像認識ツールを展開するイー・ガーディアンの高谷康久社長は「東京大学の技術を採用している当社製品の優位性を訴え、様々な企業と手を組むことで商機を見出したい」と話した。