福岡高裁は10日、国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門の開門調査をするまで国が漁業者側に支払い続ける制裁金について、1日90万円(1人当たり2万円)への倍増を命じた佐賀地裁の決定を支持し、国の執行抗告を棄却する決定をした。国は最高裁の判断を求め、許可抗告と支払いの執行停止を申し立てた。
制裁金は福岡高裁の確定判決(2010年)が命じた開門を国に促すための「間接強制」。今回の争点は、国が昨年に1日45万円の支払いを始めた後、増額すべき事情が生じたかどうかだった。
決定理由で、高野裕裁判長は「一定期間開門するだけであり、国の意思のみでできるのに履行していない」と認定。45万円では間接強制の効果がないとして「制裁金の増額は相当」と判断した。
制裁金の具体的な金額についても「(1人当たり)1日1万円では開門しないため、2万円は相当。過大な金額とは言えない」として、佐賀地裁の決定を支持した。
国は昨年7月から1日45万円を支払ってきた。佐賀地裁は今年3月、開門を求める漁業者側の訴えを認め、制裁金の増額を命じる決定をした。今月10日時点で、合計1億8990万円が支払われている。
漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長は記者会見で「国は税金の無駄遣いを重く受け止め、速やかに開門すべきだ」と強調。農林水産省は「非常に厳しい状況だ。関連する訴訟に適切に対応したい」とのコメントを出した。