東日本大震災や東京電力福島第1原発事故に関連する自殺者は4年以上たった今も後を絶たない。内閣府によると、震災後、今年5月までの福島県の関連自殺者数は69人で、岩手県の33人、宮城県の40人より多い。今年は原発事故による避難が続く福島では8人と、岩手、宮城(いずれも1人)に比べ突出している。
原発事故が原因で自殺したとして、遺族が東電に損害賠償を求めた訴訟では、福島県川俣町山木屋地区から福島市に避難し、一時帰宅の際に自殺した渡辺はま子さん(当時58)のケースで、福島地裁が昨年8月、自殺との因果関係を認め、東電に約4900万円の賠償を命令した。
判決は「生活の場を突如失い、終わりの見えない避難生活を余儀なくされたストレスは耐え難いと推認される」などと指摘した。
原発事故の被害者は東電への直接請求や、原子力損害賠償紛争解決センターでの裁判外紛争解決手続き(ADR)などで賠償を請求できる。2011年3月に自殺した同県須賀川市の農業の男性(当時64)のケースでは、遺族がADRで東電と和解した。〔共同〕