経済産業省は日本企業の優れた品質管理の技術が短期間で国際標準化機構(ISO)などの国際規格になるよう後押しする。従来は業界内の調整に数年程度かかっていたが、今後は同省の審議会で審査するよう改め、1年程度で国際規格として提案できるようにする。第1弾として樹脂メーカーの大成プラス(東京・中央)など4社の接合技術の試験方法が15日にもISOの規格になる。
これまで日本企業の検査や試験技術がISOに国際規格として認めてもらうには、国内の関連業界団体の合意を得た上で、提案する必要があった。ライバル企業が加入する業界団体での調整に数年かかり、欧米企業に先行される例もあった。
経産省は同省が設置する審議会の日本工業標準調査会(JISC)で審査するだけでISOに提案できるよう仕組みを改め、今後はJISCを通じた国際標準取得の支援を強化する。この仕組みを使えば、1年程度で提案できるようになるという。
そのモデルケースと位置づけるのが、大成プラスによる金属とプラスチックを接合する技術の評価方法だ。同社の接合技術は既に多くのスマートフォン(スマホ)の外装に使われている。同社は東ソー、東レ、三井化学と共にJISCに審査を依頼。経産省は先行してJISCの審査を済ませ、ISOに提案した。15日にもISO規格になる見通しとなった。
国際規格としてのお墨付きを得られれば、海外で取引先を広げる際などに信用を補完する効果がある。大成プラスはISO規格化の実績をテコに、自動車部品分野などに取引を拡大する方針だ。