【ニューヨーク=高橋里奈】国連は6日、貧困の撲滅などをうたった「ミレニアム開発目標」の最終報告を発表した。目標としてきた2015年の1日あたり1ドル25セント以下で暮らす貧困人口は8億3600万人で、基準年(1990年)の19億2600万人から半分以下に減り「半減させる」とした目標を達成した。安全な飲み水の確保など多くの分野でも改善が見られたとしている。
ミレニアム開発目標は2000年に15年を目標年として貧困削減などを掲げて設定された。第1目標である貧困の撲滅については、90年に発展途上国の人口の47%が貧困層だったが、15年には14%にまで減った。
また90年以降、約26億人が安全な飲み水を得られるようになり、世界人口の91%が安全な水を飲んでいるという。21億人の衛生環境が改善し、途上国のスラム街で暮らす人口も減った。初等教育を受ける女子の割合もアジアやアフリカで改善した。一方で、5歳未満の幼児の死亡率や妊婦の健康状態は改善したものの、目標値には届かなかった。
最終年度の報告を受け、潘基文事務総長は「目標の達成により数百万人の命が救われ、10億人以上が極度の貧困から抜け出せた」と評価した。だが「まだ多くの人が取り残されている」とし、「格差に対処する努力が必要だ」と声明で述べた。